”ホンカー”というスタイル、”テナーサックス”という素敵な楽器
なんだかんだ筆が重くなりがちで更新が滞っている本Blog、またしても久々の記事となっております。ただいま在宅にてそれなりに酔っ払っておりますので、細かな推敲や校正をせずに勢いで記してみましょう。それではどうぞお付き合いくださいませ。
ホンカー ”Honker” / スクリーマー ”Screamer” / ブロー・テナー ”Blow Tenor”
などと呼ばれる方々に焦点を当てて語ってみようかなと思った次第でして。モダン・ジャズを主軸に置くサックス奏者(一応わたくしも含みます)には少しばかり縁遠い単語かもしれませんが、テナーサックスという楽器を語る上で実は外せない一ジャンルであると思います。そもそもの括りが俗語ですゆえ難しいながらざっくり定義してみると、30〜40’s以降にてスウィング・ジャズを経てサックスという楽器がポピュラー・ミュージックに自然と取り入れられたのち、50〜60’s以降の主にジャンプ・ブルースやソウル、R&Bといったジャンルにおいて名演を残したテナーサックス奏者のことを指すと言えるかと考えます。先ずは代表的な方々とその名演をさわりだけでもご堪能ください。みなさまの住宅環境の許す限り、音量を最大にしてどうぞ。
・Big Jay McNeely
とりあえずこちらを何も考えずに浴びてみましょう。初っ端から正規の音源ではなくライブ映像ですが、先ずは初手として会場の熱気とステージングも含めてどうぞ。ホンカーといえばコレでしょ。
・King Curtis
ソウル/ファンクの名門レーベルAtco(ジャズファン/ロックファン双方にお馴染みAtranticの傍系)からリリースされた‘71年のライブアルバム”Live At Fillmore West”はブラック・ミュージックのクラシックスとして大名盤ですが、敢えてここはシングルでリリースされた初出のスタジオテイクを。
・Junior Walker
Stevie Wonderなどを擁するこちらもソウルの名門レーベル、Motownからリリースされた一曲。ソウル/ファンクの名盤を数多くリリースした当レーベルにおいて、インストゥルメンタルのミュージシャンとして発展の一翼を担った数少ないプレイヤーと言えるでしょう。
などなど…。これらの限られた一部の音源を一聴しただけで、一般的にモダン・ジャズにおけるサックスの在り方とは一線を画すスタイルであることを感じられるかと思います。時代的バックグラウンドとして、スウィング〜ビバップのイディオムは当然持ち合わせているでしょうし全く別の文脈として語るのは無理がありますが、いわゆるジャズ・サックスとは違った雰囲気を持つものだと思います。
前述のプレイヤーに限らずこのようなスタイルで有名なサックス奏者は他にも多いですし、これらに少し興味のある方でしたら他にもホンカーは思いつくかと思います(これ読んでて他に列挙できる方いましたらぜひ飲みにいきましょ)。具体的には
・Arnett Cobb
・Eddie “Lockjaw” Davis
・Illinois Jacquet
・Jimmy Forrest
などが挙げられるかと思いますが、今回敢えてこの方々を音源込みで紹介しなかった理由が明確に一つございます。それは、ジャズの三大レーベルとされるPrestigeから50〜60’sにリーダー作がリリースされているんですね。それらの作品には往々にしてモダン・ジャズのレジェンド級のミュージシャンがサイドメンとしてレコーディングに参加していますし、内容としてもジャズ・スタンダードを演奏しており、ブルース〜ソウルに寄ったものを主として取り上げたい本記事としては僭越ながら除外させていただいた所存です。なおわたくしは全員大好きなんですけどね。
酒の勢いで乱文を綴っておりますホンカー特集、ジャズの王道を往く洗練されたスタイルが好きな方々には少し敬遠されがちなこれらの音楽ですが、ぜひともこの機会に少しでも聴き齧ってみてはいかがでしょうか。わたくし自身もちろんモダン・ジャズが一番好きな音楽ですし、ジャズの歴史に残るレジェンドの演奏に一歩でも近付きたいと思いながら日々過ごしております。ただ、それと同時にテナーサックスという楽器自体も大好きなので、ジャズとはある意味別ルートでの『”テナーサックス”という楽器の良さ』も大事にしたいなと思っている所存でございます。ジャズの即興性や芸術性、そして各プレイヤーの楽器のスキルがどんどん高まっていく昨今、高度な内容を追うことのみに囚われず、テナーサックスにしかできない泥臭さ・暑苦しさ(褒め言葉)も大事にしたいなと改めて思わせてくれる素晴らしい演奏を少しばかり紹介させていただきました。
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